精神科学教室 主任教授

「リカバリーにはたす希望の役割」臨床精神医学 第43巻第4号:535-543,2014

2014.04.15

下記の抄録をご覧ください。関心をお持ちの方は是非ご一読下さい。

研究報告

リカバリーにはたす希望の役割 

池淵恵美 

抄録:精神障害者の障碍からのリカバリーが重要視されるようになっているが,主観的体験とともに客観的にも回復していくことが、支援する専門家の側からの目標となる。本論ではまずリカバリーの考え方を整理し、次に主に客観的回復についての転帰調査の中で,近年の薬物療法の発展によってもリカバリーしていく人たちが飛躍的に増えているわけではないのではないか、という筆者の問題意識を明確にした。そしてリカバリーに欠かせない希望を持つことについて、「希望学」を紹介し、希望をはぐくむうえで重要な社会的・個人的背景を紹介した。そのうえでリカバリーを支援する中で希望を持ち、その実現をしていくことが困難になる障壁について、社会・治療システム・支援者の理念や技術・関係性・疾病性の視点から整理した。さらに症例を通してどのような困難が実際のケースで生じやすいかを類型化し、希望学を参照しつつ,支援の方向性や課題について論じた。

臨床精神医学43:535~543

(2013年7月17日受理)

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